刹那のロックンロールに未来が宿った! わずか1年で大成長を遂げたスタークローラーをリキッドルームで観た!

刹那のロックンロールに未来が宿った! わずか1年で大成長を遂げたスタークローラーをリキッドルームで観た! - pic by Kazumichi Kokeipic by Kazumichi Kokei

いわゆる初期衝動と呼ばれる破滅的エネルギーを全身にビリビリと漲らせ、時にピュアで美しい、時にニヒルで薄汚れたロックンロールの化身としてステージに存在できる数少ないバンド、それがスタークローラーだ。スタークローラーのステージングは彼女たち自身にもコントロール不能で、その不安定で破茶滅茶&血塗れのパフォーマンスはまるで一夜毎に極限の生と死を体現して終わるハプニング・アートでもあった。そんな彼女たちのライブの理屈抜きの魅力は今回も健在だった。

でも、この日のスタークローラーはそれだけじゃなかった。ロックンロールの化身たる自分たちを俯瞰するような視点を新たに持ち合わせ、ダイナミックにステージを構築していくという、1年前の彼女たちには考えられなかったような進化が多々垣間見えた来日公演だった。

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昨年デビュー・アルバム『スタークローラー』をリリースし、初単独とフジロックで二度の来日を果たしたスタークローラー。わずか1年強のインターバルで彼女たちのライブがここまで進化していた理由は、もちろんニュー・アルバム『デヴァウアー・ユー』を作ったことによる。『デヴァウアー・ユー』は彼女たちが初めて「ちゃんとアルバムを作ろうとした」アルバムで、一筆書きのメタル&パンク・チューン一辺倒だった前作から一気に楽曲のバラエティも広がり緩急のついた大成長作であったわけで、こういうアルバムを作ったからにはライブで「ちゃんと曲を聴かせたい」という欲が芽生えたのだろう。ショウ前半で際立っていた鞭のようにしなやかなグルーヴや、ショウ後半で際立っていたメロディックなナンバーが映えるヌケのあるアンサンブルが、直線最短距離でカタルシスに到達するスタークローラー本来の初期衝動的ロックンロールと噛み合って大きなうねりを生み出していく。

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アロウ(・デ・ワイルド)の目をひんむいての絶叫も、イギー・ポップが乗り移った海老反りも、激しく痙攣しながら崩れ落ちる刹那ももちろん相変わらずなのだけれど、そんな彼女がオーディエンスにコール&レスポンスや手拍子を求めることもしばしば(しかも時に笑顔)だったし、傍のヘンリー(・キャッシュ)のバンマスっぷりも成長著しい。

そんなアロウとヘンリーのツイン・ボーカルの新曲は本当に驚くほどポップで、特に“No More Pennies”から“Born Asleep”への流れは白眉だった。こうやって曲をちゃんと聴かせる瞬間があるからこそ、“Bet My Brains”や“Ants”の忘我の境地のカタルシスティックなパンク・チューンがよりキクのだ。『デヴァウアー・ユー』と今回のライブが証明したのは、スタークローラーの刹那の輝きの先にある初めての未来だったのかもしれない。

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そんなライブの前にはインタビューも敢行。今回は4人全員参加してくれたのだが、前日夜に前乗りしていたアロウ以外の3人はなんとこの公演初日の朝5時(!)に日本に到着したのだとか。もちろん時差ボケもあるだろうに彼らは至って朗らかでヘルシー、変に斜に構えることなく取材にも協力的。そう、普段のスタークローラーはすごく素直でナイスな子たちなのです。目覚ましい進化を遂げたライブの話に加え、改めて新作についても語ってくれた。また、スタークローラーが選ぶ2019年のベスト・アルバムとは? 詳細は次号、1月7日発売の『ロッキング・オン』をお楽しみに!(粉川しの)

刹那のロックンロールに未来が宿った! わずか1年で大成長を遂げたスタークローラーをリキッドルームで観た! - pic by Satoshi Itopic by Satoshi Ito
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