ディジー・ミズ・リジーの新作『オルター・エコー』が遂にリリース! インタビューで明かされた象徴的なタイトルとアートワークの謎とは?

ディジー・ミズ・リジーの新作『オルター・エコー』が遂にリリース! インタビューで明かされた象徴的なタイトルとアートワークの謎とは? - pic by Jannick Boerlumpic by Jannick Boerlum

復活作にあたる前作『フォワード・イン・リヴァース』から4年を経て、ディジー・ミズ・リジーのニュー・アルバムが3月18日に発売を迎えた。前評判も高かった今作は通算第4作にあたり、『オルター・エコー』という象徴的なタイトルが冠せられている。

多くの人は「オルター・エゴ(alter ego:別人格)」という言葉を連想するはずだが、バンドの中心人物であるティム・クリステンセン(G/Vo)もこの表題の由来がそこにあることを認めながら、その意味するところについて次のように語っている。

そうそう、別人格という意味の“オルター・エゴ”から来ているんだけど、床に座っていろいろなギター・ペダルを試している時に思いついた言葉でね。そのうちのひとつがいわゆるディレイ・ペダル、エコー・ペダルと呼ばれるエコーを作り出すためのもので、その商品名が「オルター・エゴ」だったんだ。そこで、「いやいや、『オルター・エゴ』っていうよりも『オルター・エコー』って名前のほうが相応しいんじゃないの?」と思ってね。使われない名前ならば拝借してしまおうと考えて(笑)、メモに書き留めておいたんだ。

そしてこのアルバムにタイトルを付ける段階になってノートを開いてみたら、この言葉が目に飛び込んできてね。その場で改めて「オルター(alter)」という英単語を検索してみたら、「オルタナティヴ(alternative)」から派生してる言葉だってことも確認できて。要するに「定番とは違う」という意味だよね。

そして「エコー(echo)」についても念のため調べてみると「音の反響」と記されていた。そのふたつの意味を組み合わせた言葉が、まさに自分自身のなかにある今作のイメージに合致したというわけなんだ



ちなみにアルバムの後半、アナログ盤で言うところのB面は、5つのパートからなる組曲的な〈アメリア〉で占められていて、その最終楽章にあたるパート5もまさに“オルター・エコー”と題されている。象徴的なワードだけに、この言葉ありきで制作されたアルバム楽曲であるようにも思われるところだが、実際には違うようで、ティムは次のように説明している。

いや、むしろこれは最後の最後になって思いついた言葉なんだ(笑)。〈アメリア〉の締め括りになる5曲目のタイトルだけがどうしても思いつかなくてね。インストの小曲なんだけど、ずっとタイトルがなくてどうしようかと思ってた時に、アルバムのタイトルを冠したら完璧なエンディングになるんじゃないか、と気付かされたというわけなんだ


また、今作のアートワークには1996年発表の第2作、『ローテイター』と印象の重なるところがある。ある種のセルフ・オマージュのようにも受け取れるところだが、ティムはこの件については「偶然の一致でしかない」と語っている。

まったくそういう意図があったわけじゃないんだ。以前にも何度かジャケットに使ったことがある円形のモチーフを利用しようと考えてただけで、『ローテイター』と関連付けようとしたわけじゃない。まあ確かに、復活後の第2弾のアルバムなんで、2度目のセカンド・アルバムみたいな解釈もできなくはないだろうけど、これはあのアルバムと関連性のあるものではないし、アートワークについてもまさに偶然の一致でしかない。

アートワークについては毎回こちら側からイメージを提示する形で作ってきたんだけど、今回に限っては何もアイデアが思い浮かばなくてね。それで以前からアートワークを担当してもらってるアーティストに助けを請うことにして、スタジオに来てもらって完成したばかりのアルバムを聴いてもらったんだ。実際、この3人以外で今作を最初に聴いた人物が彼ということになるんだけど、ものすごいリアクションが返ってきてね。

「これまでの作品とは明らかに違っていて、壮大で、かつダークで神秘的だ!」と大興奮してくれて、聴いてるそばからいろんなアイデアやイメージが次々に溢れ出してきて止まらない感じだった。で、それをいったん家に持ち帰ってもらい、完成したものを持って改めてスタジオに来てもらった。最初に見た時は「えっ、なんでこうなるの?」という感じだったんだけど、実際にそのアートワークを目の前にして完成音源を聴いてみたら、「なるほど、これだね!」と納得できたというか、まさに今回のアルバムの音を視覚で表現できているなと思えたんだ。


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    『オルター・エコー』ジャケット

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    『ローテイター』ジャケット

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この場では、アルバム収録曲に関する具体的なことは敢えて書かずにおくが、今作がこのデンマーク出身のトリオの新たな代表作となることは間違いないだろう。気の早い話だが、2020年を象徴する作品のひとつに数えられることになるのではないか、という気もする。

そして、この新たなマスターピース誕生の背景などについては、4月7日発売予定の『rockin'on』5月号の誌面でティムがたっぷりと語っているので、こちらも楽しみにしていて欲しい。(増田勇一)


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