バンド/クルー支援か、それとも単なる散財なのか? 限定品マーチャンダイズを“ポチッ”とするファンならではの喜び

バンド/クルー支援か、それとも単なる散財なのか? 限定品マーチャンダイズを“ポチッ”とするファンならではの喜び

ライブやフェス会場に行くと財布の紐が緩くなり、ほぼ手ぶらに近い状態で出掛けたはずなのに気付けばTシャツやら何やら大荷物を抱えていた、というような経験には読者の多くも身におぼえがあるのではないだろうか。

そしてライブやフェス自体が実施できにくい状況が続く昨今、そうした傾向は、フェイバリット・アーティストのオフィシャルサイトを訪ねてはオンラインストアで散財、という形に姿を変えているように思われる。

そんなふうに言えるのは、筆者自身にも実際そんなところがあるからだ。元々、好きなアーティストの限定グッズなどには目がないほうだったが、今年は海外からの荷物を受け取る機会が確実に増えている気がする。

この新型コロナ禍の日々のなかで最初に通販購入したのはKISSの「STAY AT HOME」Tシャツだった。これは一見普通のツアーTシャツのようでありながら、背面にプリントされた日程には公演会場名ではなく「STAY AT HOME(家に居ろ)」という文字が並んでいるというもの。この限定版Tシャツはすでに購入不能にはなっているが、日本国内での通販も実施されていたので、海外サイトでの購入に不慣れな向きのなかにも入手されたファンが多いのではないかと思われる。

商魂たくましいバンドの代名詞のように言われることの多いKISSではあるが、このTシャツについて特筆すべきは、バンドとCREW NATIONによるコラボ商品になっていて、その収益すべてがライブ・クルーのグローバル救済基金に寄付されている点だ。そう、この状況下で困っているのはステージに立つ側ばかりではなく、それを支える人たちについても同じこと。

バンド/クルー支援か、それとも単なる散財なのか? 限定品マーチャンダイズを“ポチッ”とするファンならではの喜び

同様にデフ・レパードは2020年度版のクルーTシャツなどを一般向けに販売している(https://crew2020.defleppard.com/)。コンサート会場でクルーが着用している非売品Tシャツやフーディは、ファンにとって通常は“買えないからこそ欲しくなるもの”であるわけだが、このご時世にあっては“買うことでバンドを支える人たちを援助できるもの”になっているというわけだ。もちろんクルー救済のためにこうした手段をとっているのはKISSやデフ・レパードばかりではなく、ジャンルを問わず数多くのアーティストがこうした限定商品を販売している。

こうしたクルー支援のためのグッズももちろんだが、こうした状況下だけにオリジナルのマスクを販売しているアーティストは数知れないし、“何ドル以上の購入でマスクをプレゼント”といったキャンペーンが実施されている例も少なくない。

ちなみに筆者は現在、モーターヘッドジューダス・プリーストのマスクを所持していて、メタリカのマスクが到着するのを待っているところだったりもする。そのメタリカはこの夏、オリジナルのアロハ・シャツを販売開始して話題を集めていた。

また、2020年はAC/DCの『バック・イン・ブラック』やモーターヘッドの『エース・オブ・スペーズ』発売40周年、デフトーンズの『ホワイト・ポニー』発売20周年などをはじめ、名盤誕生のアニバーサリーがいくつも重なる年でもあるだけに、それを記念した限定グッズなどの登場も相次いでいる。

バンド/クルー支援か、それとも単なる散財なのか? 限定品マーチャンダイズを“ポチッ”とするファンならではの喜び

ブラック・サバスのオフィシャルストア(https://blacksabbathapparelshop.com/)を覗いてみれば、名盤『マスター・オブ・リアリティ』にちなんだグッズのなかに、同作のアートワークをモチーフにした「BLACK LIVES MATTER」のTシャツも並んでいて、こちらはチャリティ商品になっている。

バンド/クルー支援か、それとも単なる散財なのか? 限定品マーチャンダイズを“ポチッ”とするファンならではの喜び

ちょっとばかり文脈からは逸れるが、日本のレコード会社のサイトを通じて直接購入できるものも少なくない。たとえば10月に新作アルバムがリリースされるゴリラズのマスク・セットなどはとても人気を集めそうな気がするのだが、どうだろう?(https://store.wmg.jp/shop/gorillaz/detail.php?goods_id=1410) 

加えて、新型コロナ禍の影響でリリースが遅れていたさまざまなアーティストの新作が続々と登場する時期でもあるだけに、それに伴う新作マーチャンダイズにも注目せずにはいられない。ライブやフェスに足を向ける機会がなくても、会場に行った際にそこで購入していたはずのグッズがクリックひとつで手に入る便利さは、確かにその手軽さゆえのリスクも伴うものではある。

しかしやはり、フェイバリット・アーティストの魅力的な限定商品をいち早く手に入れることも、ファンにとっての喜びのひとつであることは間違いない。この散財を家族に見つかりませんように、と祈りながら“ポチッ”としてしまう日々から抜け出すのは、なかなか難しいことかもしれない。もちろんそれは、贅沢な悩みということになるのだろうが。(増田勇一)
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