モーターヘッド『エース・オブ・スペーズ』が発売から40周年!ロックンロールとヘヴィ・メタルを両足で跨ぐ記念碑的名作を改めて味わいたい

モーターヘッド『エース・オブ・スペーズ』が発売から40周年!ロックンロールとヘヴィ・メタルを両足で跨ぐ記念碑的名作を改めて味わいたい

モーターヘッドの功績の大きさについて、いまさらあれこれと蘊蓄をたれようとするのはお門違いというものだろう。なにしろ彼らこそ、他の誰よりも理屈抜きで語られるべき存在なのだから。

しかしこうして月日が流れ、何かしらのアニバーサリーが毎年のように巡ってくるなかで、過去のすぐれた作品にふたたびスポットが当てられ、それについて再考・再評価する機会が訪れるのは歓迎すべきことである。

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1979年に『オーヴァーキル』、『ボマー』という2枚のアルバムを発表している彼らにとって、昨年は両作品のリリース40周年という節目にあたる年だった。そして今年は当然ながら、それに続く作品として登場した名盤『エース・オブ・スペーズ』の40周年アニバーサリー・イヤーということになる。

この作品は1980年11月に英国でリリースされ、じわじわとUKアルバム・チャートを上昇し、最高4位を記録。彼らにとって初のトップ10入りを果たしている。加えて、表題曲もシングル・チャートの15位まで上昇。


モーターヘッドにシングル・ヒットなんて似合わないと感じる読者もいるかもしれないが、当時の彼らはこの曲を携えながら『トップ・オブ・ザ・ポップス』に出演していたりもするのだ。しかも激烈ではあってもコンパクトな作風である彼らの曲だけに、ラジオ向けに乱暴に編集された短いバージョンを作る必要もないし、実はシングル市場においても実績を残しているのだった。

そして、その『エース・オブ・スペーズ』の40周年記念エディションが、この10月末に登場する。残念ながら日本盤のリリースは予定されていないが、すでにバンドのオフィシャルサイト(https://shop.imotorhead.com/collections/ace-of-spades-40th-anniversary)などでは予約が受け付けられている。

CD2枚と未公開写真満載のブックレットという比較的シンプルなセットもあれば、アナログ盤の人気再燃が目ざましい昨今だけにLP3枚組仕様のものもあるし、大量の音源や映像のみならず、トランプやショットグラスまで同梱されたスーパー・デラックスなセットも用意されている。いちばん豪華なセットは385ドルというなかなかの高額ではあるが、Tシャツやフーディ、マスクといったマーチャンダイズ一式まで付いていることを考えればかなり良心的な価格設定といえるのではないだろうか。

この作品が世に出た1980年当時のイギリスといえば、アイアン・メイデンデフ・レパードがメジャー・デビューし、70年代のハード・ロックとは一線を画するものとしてニュー・ウェイブ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタルのムーブメントが勃発していた頃。

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そんな当時、モーターヘッドはすでにロックンロールとヘヴィ・メタルを両足で跨ぐようにしながら独自の地位を確立していたといえる。そしてこの『エース・オブ・スペーズ』に続く作品として1981年の夏にリリースされた彼らにとって初のライブ・アルバム『ノー・スリープ・ティル・ハマースミス』は、見事、UKチャートの首位に輝いている。その事実自体が、彼らがいかにライブ・パフォーマンスのすごさで支持されたバンドであるかを象徴していると言っていいだろう。

しかし、当時の最強トリオを形成していた3人は、もはやこの世にはいない。フィル“フィルシー・アニマル”テイラーが2015年11月11日に他界すると、同じ年の12月28日にレミーことイアン・キルミスターが、そして2018年1月10日には“ファスト”エディ・クラークが亡くなっている。

彼ら自身の口から40年前の現実を語ってもらいながら検証することは残念ながら叶わないが、このリイシュー作品をひも解きながら、このアルバムが生きてきた4つのディケイドの重さを味わいたいものである。 (増田勇一)
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