ゴシップも仕掛けも不要、な本物

FKAツイッグス『LP1』
FKAツイッグス LP1
カニエの『イーザス』を手がけた気鋭アルカのトラック・プロデュース。R&Bデュオのインクとの官能的なコラボレーション。あるいは、ジャマイカとスペインの血を引くアーティなルックス。この少ない紙幅で彼女について語るのは難しいが、結局のところその最大の魅力となれば、やはり歌声に尽きるのだろう。とくに去年の『EP2』に収録された“ウォーター・ミー”における、ホリブルでぬめるようなトラックにのせて披露されたあの美しく霊妙な歌声は、今聴き返しても鮮烈だ。待望のデビュー・アルバムとなる本作では、敏腕ポール・エプワースやレーベルメイトのサンファら新たなコラボレーターを招聘。エレクトロやR&B、アブストラクト~アンビエントを横断する先鋭的なトラックは言わずもがな、リード曲の“トゥー・ウィークス”に象徴的なようにサウンドはよりメジャーなスケール感を増した印象を受ける。が、そうしたプロダクションの重力からもビートの浮力からも、さらにはトレンド/シーンといった磁力からも自由に、強烈な意志を感じさせる歌声の存在感こそ、圧倒的。今の時代の新たな女性シンガー像の、ひとつの基準となるだろう作品。(天井潤之介)
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