美しい到達点

ロバート・プラント『ララバイ・アンド… ザ・シースレス・ロアー』
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ALBUM
ロバート・プラント ララバイ・アンド… ザ・シースレス・ロアー
ひと言でいえば、この10年の集大成。05年に『マイティ・リアレンジャー』を共に作ったザ・ストレンジ・センセーションとほぼ同じメンバーをベースにしたグループとの間にある強い音楽的な信頼感をベースにしなやかにこれまでやってきたことを展開している。1曲目はボブ・ディランも取り上げていたアパラチア山岳地方に伝わるトラッドだが、そのリールが自然とアフリカン・ミュージック的なグルーヴに変わっていく流れの心地よさにプラントの自信と確信が投影されている。

アルバムはヴァラエティに富み、それはまさに〈豊潤〉と呼びたくなるものだが、とくにジャスティン・アダムスと新たに入ったガンビアのリッティ奏者ジュルデー・カマラが加えるアフリカ、中東といったワールド・ミュージック的なセンスが混ざり合って生まれる音が魅力的だ。アメリカのルーツ・ミュージック、もちろん自身のケルト的なものも濃密に流れて何度聴いても飽きることがなく、祈るような“ア・ストールン・キッス”や“ハウス・オブ・ラヴ”などの穏やかで美しいナンバーには、この到達点に対するプラントの満足度が素直にでている。(大鷹俊一)
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