いよいよ長年の夢が実現か。19年にレッド・ツェッペリン結成50周年を記念し製作発表されたドキュメンタリー・フィルム『Becoming Led Zeppelin』が完成、9月1日から開かれるイタリアの「ベネチア国際映画祭」でプレミア上映されるというのだから、この号が出る頃には大騒ぎになっているはずだ。
タイトルがストレートに示すように、描く対象時期が初期から『レッド・ツェッペリン Ⅱ』が大ヒットするあたりまでというところに激しく興奮する。しかもジミー・ペイジ、ロバート・プラント、ジョン・ポール・ジョーンズの3人が全面協力、インタビューにも応え、故ジョン・ボーナムもアーカイブ参加と、ファンには長年の夢だったツェッペリン映像の決定版となる予感がしてならない。
メンバー全員がその気持ちになったのは監督が、17年にドキュメンタリー『American Epic』を撮ったバーナード・マクマホンだからだろう。このフィルム、1925年に発明された初の電気式録音機を修復し、80年ぶりにその機械でベックやアラバマ・シェイクス等が録音に挑戦するもので、冒頭のジャック・ホワイトのレコーディング・シーンを観ているだけでプラントやペイジが惚れ込むのもわかる。
そんなマクマホンが「世界中、隈なくアーカイブを探し、映像と音声を数年かけて修復した」というのだから、どれほど期待しても良いだろう。初期映像としてはもっとも有名な69年3月にデンマークでTV放映されたものや、ロンドンで行われたエリック・クラプトン、ローランド・カーク等も参加したスタジオ・フェス『Supershow』あたりも収録される可能性はあるし、最初期音源など、どんなお宝が出てきても不思議じゃないから、期待は膨らむばかりだ。残念ながら本稿執筆時点では、日本公開スケジュール等は未定ながら情報を待ちたい。
さらにさらに11月にリリースが発表されたロバート・プラントとアリソン・クラウスの14年ぶりのデュオ・アルバム『Raise The Roof』の先行シングル“Can’t Let Go”が、これだけでアルバムの内容を確信させる素晴らしい出来! この秋はツェッペリン祭りか。 (大鷹俊一)
レッド・ツェッペリンの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』10月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。