「私」のポップ

Galileo Galilei『See More Glass』
2014年10月01日発売
MINI ALBUM
Galileo Galilei See More Glass
サリンジャーの短編小説『バナナフィッシュにうってつけの日』には、シーモア・グラースという人が登場する。一方、Galileo Galileiの新しいミニアルバムは『See More Glass』と題され、“バナナフィッシュの浜辺と黒い虹 with Aimer”という曲もある。また、“サニーデイハッピーエンド”の詞では、はっぴいえんどの曲名が引用される。そんな遊びもあるから、フィクション性の高い歌が多いのかと思ったのだ、最初は。しかし、新作で全曲を書いた尾崎雄貴は、自分に起こった出来事を基にしているとコメントしている。意外だった。
どの歌詞も、キャラクター、心理、情景がよく描かれていて短編小説のようだ(特に“Mrs.Summer”)。皮肉な人間観察もある。一方、音はあくまでもポップなギター・ロック。しなやかな歌声、メロディ、ハーモニーで構成された本作に、自分を生々しくさらけ出した印象はない。「私」を押しつけるのではなく、「私」から出てきたことを多くの人に伝わるように形を整える。それがポップということだという姿勢が、詞、曲にみえる。上質と呼ぶにふさわしい作品。(遠藤利明)
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