朝日を信じる夕日の物語

amazarashi『夕日信仰ヒガシズム』
2014年10月29日発売
ALBUM
amazarashi 夕日信仰ヒガシズム
初回盤には、アルバムの核となる“スターライト”とリンクした短編小説、各楽曲をテーマにした詩集を収めたブックレットと、9月のアコースティック・ライヴのDVDが付く。amazarashiの秋田ひろむは、物語を強く志向する音楽家であり、サウンド、言葉、ヴィジュアルの総合的表現であることが前提になっている。新作もそうしたプロジェクトとしてあるが、今度はどんな物語なのか。
“スターライト”は、宮沢賢治の童話『銀河鉄道の夜』に触発された内容だ。一方、もういない友人に向けた“ひろ”では人生の厳しさが歌われ、“生活感”という曲もある。ファンタジーもあれば現実もある。曲調に関しても疾走感のあるもの、壮大なもの、語りに近いものと多様な表情をみせる。本作は“ヒガシズム”の夕暮れから始まり、“スターライト”の夜へ続く。だが、その次は《敗北 挫折 絶望がラスボスじゃねえ》と歌う“もう一度”である。つらいことがあっても“もう一度”と立ち上がるのだ。同曲は、『夕日信仰ヒガシズム』が、朝日がまた昇ることを信じるアルバムであることを示している。力強い作品だ。(遠藤利明)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする
音楽WEBメディア rockin’on.com
邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
洋楽誌 rockin’on