痛みを響かせ続ける理由

DIR EN GREY『ARCHE』
2014年12月10日発売
ALBUM
DIR EN GREY ARCHE
実に3年4ヶ月ぶり、9枚目となるアルバム。彼らは年月を重ねるごとに、辛いのか?苦いのか?甘いのか?一言では表せないほどに様々な味を重なり合わせて、食べたことがない、だけど病みつきになるような楽曲を生み出してきた。だけど今作は、苦いならとことん苦く、辛いならとことん辛くというように、濃い味わいになっているのだ。演奏も京の声も、めくるめくというよりは、流れるように迫ってくる。また歌詩も、伝えたいことが真っ直ぐに聴こえてくる。決して単純なわけではないのだが、バキッとしているのだ。タイトルの『ARCHE』はギリシャ語で「根源」という意味。装飾なしの根源からして彼らはとんでもない、という事実を今作は突き付けている。そして、彼らの根源に渦巻いているのは、愛であり哀である――という想像も過った。前向きで力強い言葉もちりばめられた歌詩などが、彼らの核である「痛み」の根源さえも浮き彫りにしているのだ。京の喉の不調で活動休止したことを筆頭に、山あり谷ありの時間を経て辿り着いた「根源」という表現に、彼らの思いの深さを感じずにはいられない。(高橋美穂)
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