これがエイフェックスだ

エイフェックス・ツイン『コンピューター・コントロールド・アコースティック・インストゥルメンツ・パート EP』
発売中
EP
エイフェックス・ツイン コンピューター・コントロールド・アコースティック・インストゥルメンツ・パート EP
いきなり発表された新録EPである。rockin'on 2015年1月号で彼が語っていた「ミディのパイプ・オルガンを4台とディスクラビアの制御システム付きのピアノとコンピューター操作式のパーカッション」という新しい機材システムで作った音源と思われる。

13年ぶりの新作『サイロ』は、唯一無二のエイフェックスらしさを遺憾なく発揮した作品とみるか、彼本来の実験精神を欠いた保守的なアルバムとみるかで評価が分かれた。13年ぶりだからこそ、わかりやすいエイフェックスらしさを強調したアルバムを作ったのだろう。そして本作は一転して、エイフェックスの実験精神、あるいは変態性が遺憾なく発揮された怪作となった。

ピアノやパーカッションや各種民族楽器を主体にしたアブストラクトなサウンド・スケッチで、ファンクやヒップホップの要素もありつつ、現代音楽に近い実験的な作風。『サイロ』のようなわかりやすさはなく、無造作に投げ出された鉱物的な音の断片が奇怪なシェイプを描いていく。既存のポップ・ミュージックの枠組みを静かに壊していくような野心的な作品だ。個人的は『サイロ』よりはるかに刺激的だった。(小野島大)
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