東京・下北沢を拠点にするバンドだが、なるほど駅前の再開発が始まる前の、さまざまなサブカルチャーが集合する若者の街から生まれてきた音楽でありバンドという感も。ブラジル音楽やポスト・ロック、アメリカのインディ・ポップなどを参照したジャム・バンド、といった趣で、バンド名から想起するほどノンキにレイドバックばかりしているわけではなく、もう少し耳障りだったり引き締まった音楽も聴かせる。
バンドの立ち位置としてはクラムボンに近い。ヴォーカルの中川理沙が多くの曲を作っているが、ピアノの弾き語りから発展したような曲では、声が荒井時代の松任谷由実にちょっと似ていて、その時代のニューミュージックのような雰囲気もある。いい意味で品が良く後味も嫌みなくさわやか。個人的には雰囲気のいい小バコで、お酒でも飲みながら聴きたいバンドだ。(小野島大)