そう、これでいいのだ

藤巻亮太『旅立ちの日』
2015年05月13日発売
MINI ALBUM
藤巻亮太 旅立ちの日
やはり藤巻亮太の歌は、移ろう四季のなかで揺れ動く自身の感情や人間模様、それを取り囲む情景を描くことで躍動するのだとこの6曲を聴いて思うのである。資料には“旅立ちの日”について「“3月9日”を彷彿とさせる」という文言があるが、藤巻自身にとっては、意識的にそうなったのではなく、無意識的にそういう歌になったという感覚なのではないだろうか。アウトプットする名義がたとえソロであってもレミオロメンであっても、自分が書くべき歌はそういうものなのだと吹っ切れた藤巻が目に浮かぶのだ。

ティンパニーがフィーチャーされた鼓動が走り出すようなイントロを経て、アコースティックギターとストリングスに導かれながら鳴るピアノやウィンドチャイムの音色が、清々しいムードを引き立てる。“旅立ちの日”のサウンドはどこか大瀧詠一を彷彿させる趣もあり、歌はとても力強い。解放的なポップネスを疾走させる“ゆらせ”以外は、“旅立ちの日”も含めてすぐに弾き語りでも歌えそうな楽曲ばかりだ。本当の意味で藤巻亮太の歌が定まった――。そう思わせてくれるミニアルバムである。(三宅正一)
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