今作『心雨』の3曲を含めメジャーデビュー以降の2年弱の間にindigo la Endで31曲、ゲスの極み乙女。も合わせると実に70曲に及ぶ怒濤のリリース攻勢は、川谷絵音のソングライティングを激しく研磨し、加速度的にアップグレードさせてきた。そしてそれによって、彼自身の中でも「indigo la End的なるもの」といった概念は時系列の彼方に流れ去っていったのだろう。自分の作る楽曲と言葉、そして長田カーティス/後鳥亮介/佐藤栄太郎編み上げるサウンドが、紛れもないindigo la Endの世界を作っていく――といった揺るぎようのない確信が、土砂降りの心象風景をエレピをフィーチャーしたメロディアス&メランコリックな音像に託したタイトル曲“心雨”からはもちろんのこと、スリリングでミステリアスな切迫感に満ちた“24時、繰り返す”、静謐なピアノバラード“風詠む季節”からも伝わってくる。自らの音楽のテクスチャーから「美しいもの」「晴れやかなもの」「心震わせるもの」だけを厳粛なまでに丹念に濾過しながら「その先」を目指す探求精神が、一音一秒からあふれ出してくる珠玉の1枚。(高橋智樹)