4年ぶり、底抜けに「明るい」大傑作

中村一義『海賊盤』
2016年03月02日発売
ALBUM
中村一義 海賊盤
中村一義、4年ぶりのアルバムは、ライヴを一緒にやってきた11人編成のバンド「大海賊」とともに制作された。来年でデビューから20年が経つが、中村の柔らかさの中に鋭さを隠した声と、高みに登りつめていくようなメロディは、いつまでも不変である。しかしひとりでアレンジも演奏も行った前作『対音楽』にあったような、芸術作品のようなストイックさと音楽人生を賭けるような決死の凄みは、この『海賊盤』にはないように思える。ツアーでのオーディエンスの声をレコーディングしたという多重のコーラスが高らかに響き、バンジョーの音が軽快に弾む“スカイライン”から幕を開け、全編において満ち溢れているのは、命の輝きと喜びなのだ。これまで、私の目に映る中村一義は、巨大な才能と表現者としての情熱に振り回されるまま、時に自分を深い闇の中へ追いやりながら、音楽を生み出しているように見えた。だけど今は、心の一番深い場所を開放させ、誰かと共に世界を跳ね回って冒険するようなヴァイタリティを放っている。こんな中村一義に今出会うことができて、私はとても嬉しく思う。(若田悠希)
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