ゼイン、君は正しかった

ゼイン『マインド・オブ・マイン』
発売中
ALBUM
ゼイン マインド・オブ・マイン
ボーイズ・グループから脱退したメンバーがソロ活動を始める際、その方向性が自分自身を見つめ直すパーソナルなものになるのはある種規定コースになっている。子供時代の自分の写真に現在のタトゥーだらけの自分の腕を合成したアートワーク、アルバム・タイトルにも象徴されるように、ゼイン・マリクのワン・ダイレクション脱退後初のソロ作となる本アルバム『マインド・オブ・マイン』も、まさにそういうタイプの「本当の自分」を再定義した一枚だ。  

先行シングル “ピロートーク”がウィークエンドを連想させるようなアンビエントR&Bだったのには驚いたが、本作のトーンもアンビエントでチルなR&Bやレゲエ、ダブ、エレクトロで統一されている。それらは明らかに彼独自の個性であり、やりたかったことだ。たとえばワン・ダイレクションの『フォー』には本作と近いニュアンスが少量あったが、それが当時のゼインの精一杯の自己主張だったのだとしたら、手練のブレイン達と共にやりたいことを高精度で純粋抽出した本作はゼインにとっての正解、幸せだと認めざるをえない。ジャスティン・ティンバーレイクへの道も見える名盤です。(粉川しの)
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