パンクスプリング2016で3度目となる来日公演を行なう、オーストラリア・シドニー発の5ピース、トゥナイト・アライヴが3rdアルバムをリリース。タイトルは『リミットレス』だ。これまでの爆発力のあるポップ・パンク・サウンドから、より大きなスケールで響くダイナミックなロック・アルバムへと進化を遂げている。過去2作で垣間見えた、大らかなメロディや力強いバンド・サウンド、細やかなアレンジ力など、バンドのポテンシャルを最大限に引き出すことができた内容だろう。そして、紅一点のヴォーカル、ジェナ・マクダグルの歌声も、いちだんとソウルフル。バンド・サウンドのパワーをエンジンにして天真爛漫に、跳ねまわるような歌とメロディとがこのバンドの武器でもあったけれど、その歌声は大きく旗を振るように、地に根を下ろして力強く解き放つものとなっている。重心の低くなったサウンドの安定感とともに、包容力が増した。バンド内だけでの曲作りから、外部ソングライターやプロデューサーとの関わりもリミットレスにして、バンドにとっての新たなサウンド領域へと踏み込んだ意欲作。その試みが吉と出た。(吉羽さおり)