ハリー・スタイルズが3年半ぶりに新作をリリース――ベルリンのクラブシーンやLCD サウンドシステムから影響を受けた、パーソナルなダンスポップ作をロングレビュー

ハリー・スタイルズが3年半ぶりに新作をリリース――ベルリンのクラブシーンやLCD サウンドシステムから影響を受けた、パーソナルなダンスポップ作をロングレビュー

現在発売中のロッキング・オン6月号では、ハリー・スタイルズの新作論考を掲載! 以下、本文の冒頭部分より。


文=粉川しの

内から外へ。ベッドルームからダンスフロアへ。ハリー・スタイルズの最新アルバム『キス・オール・ザ・タイム.ディスコ,オケージョナリー.』は、そんな解放のメタファーと共に、彼が大きく方向転換したダンスポップの快作として語られている。ブリット・アワードでは、先行シングル“アパーチャー”を披露。群舞を従えてのフォーメーションダンスは大きな話題を呼び、ハリーの新境地を見せつけるに至った。

そう、確かにハリーは踊ったのだが、相当練習してきたんだろうな……という、踊り慣れていない人の必死さが伝わるパフォーマンスでもあった。そもそも何故、彼が踊るとファンがこんなにもざわつくのかと言えば、彼は一切踊らないアイドル(=ボーイバンド)として、独自路線を突き進んだワン・ダイレクション出身であることが大きい。踊らない、というより苦手で踊れなかったのがハリーという人だった。そんな彼が「ディスコ」を冠したアルバムを作ったのだから、本盤が転機作であるのは間違いないだろう。

実際、『キス・オール〜』は期待に違わぬダンスバンガーを畳み掛けて、アルバムの前半をひた走る。「カメラの絞りの開口部」を題名にしたに相応しく、オープニングトラックの“アパーチャー”は暗い視界に光が差し込み、クリアになっていくような、ビルドアップの恍惚感が堪らないダンスパンクで、そのベースラインには明らかなLCD サウンドシステムの影響が聴き取れるだろう。2ndシングル “アメリカン・ガールズ”もまた、メロウな導入から徐々に熱を帯びていくスムーズな構築性が際立つナンバーで、80s風のケミカルなダンスポップと、前作から踏襲した60〜70s風のオーガニックなインディーポップのせめぎ合いも楽しい。一転、2分40秒の短尺にフックを詰め込んだ“レディ・ステディ・ゴー!”は、即効型のアンセム。ブリーピーなベースラインといい、オートチューンで歪まされたボーカルといい、ここまでで最もハリーの過去作とのギャップを感じるナンバーでもある。その熱がさらにヒートアップするのが、“アー・ユー・リスニング・イェット?”のファンキーなグルーヴだ。パーカッションにはアフロビートが、ギターにはナイル・ロジャース風の軽妙カッティングと、イマジン・ドラゴンズ風ポップロックが交互に顔を出す。アルバム後半のハイライト曲である“ポップ”と併せて本作のエクレクティックな実験精神を象徴するナンバーだろう。

(以下、本誌記事へ続く)



ハリー・スタイルズの記事の続きは、現在発売中の『ロッキング・オン』6月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

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