荘厳な声楽とシックのグルーヴ

ローラ・マヴーラ『ザ・ドリーミング・ルーム』
発売中
ALBUM
ローラ・マヴーラ ザ・ドリーミング・ルーム
BBCが毎年発表する「サウンド・オブ」の13年版で4位につけたローラ・マヴーラ。次のニーナ・シモンとか、新世代アデルなどとかなり乱暴に括られてしまったところもあったが、クラシック音楽の素養を備えながらもR&Bやポピュラー・ミュージックに没頭しつつ自身の感性を花開かせるとこうなる、というのが本作の内容。そこで最も果敢なアプローチとなっているのが、シングルともなった“オーヴァーカム”。シックのナイル・ロジャースとのコラボレーションを試みたことで、ローラの荘厳なヴォーカル・ハーモニーにナイルのファンク・グルーヴを合体させていく力業はかなりの聴きものとなっている。あるいはハウスのビートに重層的なコーラス・ハーモニーを聴かせる“レット・ミー・フォール”など、決してクラシックの素養がポップ・ミュージックとしての魅力を邪魔するものになっていないところがとても気持ちいいのだ。それとローラのコーラスワーク自体がクラシックというよりは、むしろ70年代のイエスを思わせるインスピレーションに満ちているところもとても聴きやすいし、そこがやっぱりUK発ということなのか。(高見展)
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