どこまでもキングス・オブ・レオンそのものの熱量とグルーヴに満ちているのに、それこそ“ユーズ・サムバディ”直系のスケール感を備えた音像。都市の喧騒も人生の葛藤もスタジアム・クラスの音響へと変換してみせるような、力強いアンサンブルとカレブの歌―。前作『メカニカル・ブル』から3年、プロデューサー&エンジニアを一新して臨んだ7thアルバムは間違いなく、キングス・オブ・レオン史上最もクールでハイパーで、それゆえに彼らのロックの核心が最もキャッチーな形で、聴き手を選ぶことなく響いていく。そんな作品だ。
彼らはいたってモダンなロックを鳴らす一方で、サザン・ロックのラフな残響が自らの音世界の中に存在することに対してもOKサインを出し続けてきた。しかし、タイトな疾走感に満ちたシングル“ウェイスト・ア・モーメント”にしろ、極彩色のポップ感あふれる“アラウンド・ザ・ワールド”にしろ、メロディとビートの関係性を軸として、よりタフで開放的なフォルムへとキングス・オブ・レオンサウンドを再構築したことがわかる。“オーヴァー”のハイブリッドな高揚感も、“ワイルド”、“ウォールズ”のめくるめく美しさも必聴。(高橋智樹)
断捨離で際立つKOLの核心
キングス・オブ・レオン『ウォールズ』
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