前作『HOME』以降、約1年半ぶりとなるアルバムが到着。カップリング集『B-SIDE』の発売と、70万人もの動員を記録した「HOME TOUR」を経て、ひと区切りついた上での制作だったせいもあるのだろう。今作は実にフレッシュで、明るい王道のポップ・アレンジが施してある楽曲が並んでおり、これぞみんなが聴きたかったミスチルだなあという感じがする。ちなみに今作のジャケットとタイトルはデザイナーである森本千絵(goen)のアイデア。その画にインスパイアされて桜井が最後に仕上げた1曲は“エソラ”。この曲の≪メロディーラインが描いたカラフルな希望のフレーム/輝きを撒き散らしては僕らに夢を見せる≫という歌詞が『SUPERMARKET FANTASY』における大事なテーマだと思う。スーパーに並ぶ物のように消費されながらも、自分たちの音楽が少しでも誰かの心を明るくしてくれたらいいという気持ちもあるそう。食品偽装や不景気などで、08年の日本のスーパーは非常にシビアな現場だった。そこに鮮やかなFANTASYをもたらす彼らの音楽ほど心強く響くものは無い。(上野三樹)