正統シューゲイザー登場

シガレッツ・アフター・セックス『シガレッツ・アフター・セックス』
発売中
シガレッツ・アフター・セックス シガレッツ・アフター・セックス
乾いた女性のような声、歌い方で静かに心の内に入り込んでくるグレッグ・ゴンザレス(歌声とまったく合わない名前だ)を中心としたシガレッツ・アフター・セックス待望のファースト・アルバム。EPが評判になってからずいぶんと時間が経った気がするが、過ぎた時が決して無駄ではなく、それどころかこの美しい曲たちを磨き上げるためには、なるほどこれは必要だったのだと納得がいく。マジー・スター等シューゲイザー・バンドたちの遺伝子を引くイマジネイティブな曲想と歌だが、意外なほどナルシスティックな自己陶酔感は薄く、曲を客観的に描いていくところが良いし、だからこそ歌がかえって艶めかしくなっている。

その歌を絶対的な主軸として肉付けされたサウンドは、アンビエントやスローコアの要素を適度に織り交ぜながら、最終的にはバランスの取れたオーソドックスな音色でまとめられているから安心して歌に身を委ねることができる。そして曲そのものの良さがしっかりとしみ込んでくるのは、メンバーがグレッグと目指すものを完璧に共有できているからなのだろう。期待通りのアルバムに仕上がっている。( 大鷹俊一)
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