音楽はやはり救いなのかもしれない

神様、僕は気づいてしまった『神様、僕は気づいてしまった』
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神様、僕は気づいてしまった 神様、僕は気づいてしまった
このバンド名は一度耳にしたら忘れられない。もちろんその音楽も。澱のように堆積していく悲しみや息苦しさが、自家中毒を起こす寸前で堰を切ったように溢れ出てくるような、痛みそのもののような歌だ。匿名性をまとって、逆説的にそれが救いとなるような、そんな歌。その痛みを放出するブラスターの役割を担うために、このサウンドの攻撃性は必然なのだと思う。今作は、ドラマ『あなたのことはそれほど』の主題歌にもなった1stシングル曲“CQCQ”を含む1stミニアルバム。昨年、MVで公開された“だから僕は不幸に縋っていました”も収録されている。そこで歌われる《もはや音楽に期待はしちゃいない 何も変わりはしなかった》という諦念のような言葉は、それでも音楽によってしか、その思いを昇華することができないというジレンマの表れでもあり、生きることの矛盾がそのまま映し出されているよう。つまり、神様、僕は気づいてしまったというバンドは、「音楽があって良かった」と、そう思わせるだけの力を持っている。どこのだれか(Vo・G)の中性的で切実な歌声が耳から離れない。(杉浦美恵)

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