差し伸べられた手を掴んだら

忘れらんねえよ『僕にできることはないかな』

発売中

忘れらんねえよ 僕にできることはないかな
「やればできる」とか「夢は叶う」なんて歌にはもう絶望しか感じない。そんな百も承知の嘘っぱちよりも、「やるだけやってもダメだった」と、「死ぬほど頑張ったのに勝てなかった」と、そういう歌が響く瞬間が人生には何度かある。忘れらんねえよが約2年ぶりにリリースするアルバム『僕にできることはないかな』は、そんな崖っぷちの私たちに優しく手を差し伸べるアルバムだ。それは頑張ることへの諦めではない。5曲目“明日晴れるといいな”で、《期待することをもうやめればいいのに/できない》と歌うように、この期に及んで往生際悪く立ち上がり続ける人生に優しく寄り添う歌たち。その収録曲には、ストリングスのアレンジが印象的な美しいバラード“喝采”をはじめ、感情のままに怒りを爆発させるパンクロックなど、全12曲が並ぶ。なかでもアルバム終盤、バンドの初期衝動に立ち返ったような“東京”に息を呑む。力強く打ち鳴らされたビートが激しく加速したとき、《何かを見つけるまで歩いていくよ》と、柴田隆浩(Vo・G)は叫ぶように歌う。それは紛れもなく、忘れらんねえよだけの「東京」だった。(秦理絵)

最新ブログ

フォローする