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5月から『news zero』のエンディングテーマとして流れている楽曲だが、平日夜の報道番組で流れる楽曲に「ディストピア」と名づけたことに、今のONE OK ROCKの意志がある。《No running from the sadness》――曲の中でそう歌われる。「あなたが感じる悲しみから目を逸らさないでくれ」と。彼らは、あなたを悲しみの沼に引きずり込みたいわけじゃない。むしろ「共に未来を見たい」と言っている。現実をなかったことにして、都合のいい景色ばかりをぼんやり眺めてきた目ではなく、自分自身の悲しみや空虚さすら見つめる覚悟を持った眼差しにこそ見つけられる未来があるのだと。理想も現実も混ざり合う3分間。強く、ヘヴィな楽曲だが、その「強さ」にがんじがらめになっていない。メロディはポップだし、ジャケットが伝えるように「あなたと手をつなぎたい」という柔らかな想いがここにはある。一歩一歩、自らの人生に納得してきたバンドだからこそ、今彼らは嘘偽りなく「あなたと世界を変えたい」と歌うことができる。(天野史彬)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年1月号より)
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