涙から始まる格闘の日々の物語

KANA-BOON『NAMiDA』

2017年09月27日発売

KANA-BOON NAMiDA
KANA-BOONはまだ20代の若手とは言え、すでに新人のフェーズを抜けシーンの主力たる立場だと言っていいだろう。その点で、前作『Origin』がバンドとしての初期衝動を振り返り、またサウンド面においても抜本的に構造を見直すきっかけになったのはとても良かった。自ずと、新作は新たな構築に向かうはずだという気がしていたが、本作の序盤“ディストラクションビートミュージック”と“人間砂漠”の新鮮なロックサウンドの手応えにはガッツポーズである。メロディと歌声の抜けの良さ、アンサンブルの機能性といった長所はそのままに、確かなビルドアップを果たしている。また後半の“Ride on Natsu”や“ラストナンバー”は、一層骨太になったバンドグルーヴにこそ胸を焦がす楽曲群だ。『NAMiDA』はただ湿り気を帯びた作風かと言えばむしろ逆で、空虚さや孤独感を振り払い、体温を伴ったエモーションをしっかりと握り締めるアルバムである。蛇足かも知れないけれど、鮮烈で美しい“涙”までの前半と、“Wake up”からの次なる景色を描く後半という構成は、とてもアナログ盤映えしそう。(小池宏和)

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