『ディス・イズ・アクティング』から2年弱で届けられた最新アルバムは、ホリデイ・シーズンに向けられた作品。なのだけれど、そこはさすがにシーア、よくあるクリスマス・ソングのカバー集ではなく、全曲がオリジナルの新曲ということでソングライターとしての自我を強く打ち出している。アートワークでは顔出しの前作と同じユーモラスな表情を見せているのだが、クリスマス・カラーの髪をして楽しそうだ。つまり、楽しみながらクリスマスというテーマの縛りプレイに挑んだ意欲作なのだ。
どの曲も、スタンダードに真っ向から張り合おうとする練り上げられた普遍性に到達しており、このキャッチーなテーマに向き合うこと自体が極めてチャレンジングな仕事となっていたことを窺わせる。志が高い。トロピカルなグルーヴが持ち込まれた冒頭の“Santa's Coming for Us”や、思わず口ずさんでしまうフックがチビッ子受けしそうな“Ho Ho Ho”などが楽しい一方、美しく厳かなコーラスを見事なメロディ変化で暮らしの中に滑り込ませる“Underneath the Mistletoe”はとりわけ白眉な一曲だ。(小池宏和)
今年のホリデイ・アルバムはこれ
シーア『エブリデイ・イズ・クリスマス』
発売中
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