したためられた異なる未来図

ザ・エックス・エックス『エックス・エックス』
発売中
ザ・エックス・エックス エックス・エックス
年明け2月に来日公演を行うザ・エックス・エックス。そんな格好のタイミングで過去2タイトルがリイシュー。最新作『アイ・シー・ユー』のツアーでのハイライト“エンジェルズ”を収録した2ndも素晴らしいが、まだ初々しさが残る1stも今改めて聴くと新鮮。いや、今となっては当時かれらが4人組だったことを知らない読者もいるのではないか。

後にDJ/プロデュース業で現場経験を積むジェイミー由来のダンス・フィールはまだそれほど顕著ではなく、音数を抑えたミニマルなバンド演奏が際立っていた1st。ヤング・マーブル・ジャイアンツやドゥルッティ・コラムが引き合いに出されたことも記憶に新しい。そんなかれらの登場は当時、クラクソンズらニュー・レイヴ勢の飽食気味な折衷主義に対するカウンターとして強烈な個性を放っていた。と同時に、その暗さやメロウネスはダブステップ以降のシーンの空気と完全に同期したものだった。もしもかれらがあの4人組のまま進んでいたら、サヴェージズとはまた異なる「ロック・バンド」の新たな方向性を切り拓いてみせたのではないか。改めて聴く1stはそんな想像を抱かせてくれる。(天井潤之介)
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