30年間に亘り数多くの名作を生み出してきたプロデューサー
小林武史の近作をまとめた、ワークスアルバム。収録は、
クリープハイプ×谷口鮪(
KANA-BOON)の“陽”、
back numberと
秦 基博と小林武史の“reunion”といった東京メトロCMソングを中心に、
YEN TOWN BAND再始動プロジェクトとして
Kj(
Dragon Ash)とコラボした“my town”、
櫻井和寿と
Salyuが歌う再録“to U”など、ap bank fes開催に紐づく楽曲など、全11曲。その参加アーティストを列挙するだけでも、ここ数年の小林の充実がわかる。お茶の間に愛される普遍的なポップミュージックでありながら、シニカルで焦燥感を孕んだ鋭利なアプローチを特徴とする小林サウンド。その背景には、音楽は人間の営みと切り離すことのできない、という小林自身の思想が漂っている。それを象徴するのが、戦後70年にあたる2015年に発表されたnovem名義(大木伸夫、
ホリエアツシらが参加)の楽曲“70”だと思う。今作は小林が音楽家として、いかに社会と向き合うべきか、その葛藤を綴るドキュメンタリーのような1枚でもある。(秦理絵)