これこそがモービーの本質

MOBY『EVERYTHING WAS BEAUTIFUL, AND NOTHING HURT』
発売中
ALBUM
MOBY EVERYTHING WAS BEAUTIFUL, AND NOTHING HURT
モービー&ザ・ヴォイド・パシフィック・クワイア名義での『More Fast Songs About the Apocalypse』以来9ヶ月ぶり、単独名義の歌ものアルバムでは『イノセンツ』以来4年ぶりの作品だ。

『ジーズ・システム〜』は現代社会のシステムへの怒りを直截に叩きつけるポスト・パンク風なロック・アルバムだったが、本作での作風はまさにモービー風としか言いようがない、ダークでメランコリックでアンビエントで内省的でディープでエモーショナルで美しいエレクトロニック・ボーカル・アルバムに仕上がっている。彼の正直さ、誠実さがよく表れた作品だ。曲調は時に荘厳に、時にゴスペル風になり、時に少し息苦しく感じるほどエモーショナルだが、それは彼の生真面目さの表れだろう。モービーは前作のインタビューで「商業的な成功なんか関係ない。人間性とか精神性とか誠実さとか、それこそが音楽の核なんだ」と語っているが、その言葉通りと思える美しく繊細な作品だ。(小野島大)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする