長く曲がりくねった旅路の果て

クイーン『ボヘミアン・ラプソディ(オリジナル・サウンドトラック)』
発売中
OST
クイーン ボヘミアン・ラプソディ(オリジナル・サウンドトラック)

本号が発売されて間もなく公開されるクイーンの伝記映画のサントラ盤である。この原稿を書いている時点では、筆者も映画そのものについては観ておらず、断片的に公開されている予告編でしか知らない。なのでここに収められた楽曲が劇中でどのように使われているかわからない。ファンなら誰でも知ってるような有名曲ばかりだからこそ、気になる。だがこの楽曲、そして曲順を見ながら、映画がどのように構成され、どんなエピソードが語られているか想像することは十分可能だし、楽しい。映画が公開されてからも、ここに収められた音源を聴きながら映画の記憶を反芻し余韻に浸ることも可能だろう。

音源は既発表テイクもあるが、本作のために新たに録音されたもの、リテイクされたものなど様々。なかでも、ブライアン・メイとロジャー・テイラーがこの映画のために新たに録音した20世紀フォックス社のファンファーレは、聴いただけですぐわかるブライアン節で最高だ。また“ドゥーイング・オール・ライト〜”は、クイーンの前身バンド、スマイルでフレディ・マーキュリーの前任ボーカリストだったティム・スタッフェルが参加してのリテイクになっているのも興味深い。そして“ラヴ・オブ・マイ・ライフ”のライブ版の会場をあげての大合唱はちょっと胸が熱くなる。

しかし本作の最大の目玉は、初めて公式CD化されることになった1985年ライヴ・エイドの演奏だろう。パンクやニュー・ウェイブの波に押され過去の遺物となりかけていた当時、世界中にクイーンの凄さを見せつけた80年代最大のイベントが本盤の、そして映画のクライマックスとなる。ウェンブリー・スタジアムを埋め尽くした数万の客を前にした圧倒的パフォーマンスが、一体どのように描かれるのか。楽しみにしたい。(小野島大)



『ボヘミアン・ラプソディ(オリジナル・サウンドトラック)』の各視聴リンクはこちら

クイーン『ボヘミアン・ラプソディ(オリジナル・サウンドトラック)』のディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』12月号に掲載中です。
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クイーン ボヘミアン・ラプソディ(オリジナル・サウンドトラック) - 『rockin'on』2018年12月号『rockin'on』2018年12月号
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