ハードとポップのバランスが肝

デフ・レパード『ザ・ストーリー・ソー・ファー:ザ・ベスト・オブ・デフ・レパード』
発売中
ALBUM
デフ・レパード ザ・ストーリー・ソー・ファー:ザ・ベスト・オブ・デフ・レパード

10月の来日で大ヒット作『ヒステリア』(1987年)の再現ライブを行ったデフ・レパード。昨年には同作の30周年記念盤や80年代作品のボックスの発売、バック・カタログのデジタル配信開始があったし、再評価の機運が盛り上がっている。そして、10月にアコギとストリングスで聖夜らしい優しさの新曲“ウィー・オール・ニード・クリスマス”を配信したのに続き、新ベスト『ザ・ストーリー・ソー・ファー:ザ・ベスト・オブ・デフ・レパード』がリリースされる。レーベルをまたいだ選曲で彼らのキャリアを一望できる内容だ。

デビュー時のデフ・レパードは、ニュー・ウェイブ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタルのいちバンドととらえられていた。だが、ムーブメントの中心だったアイアン・メイデンなどとは異なり、彼らの場合はメタルというよりグラム・ロックが根っこにあったし、もっとポップ志向だった。

その意味で興味深いのが、今回のベストで“パーソナル・ジーザス”をカバーしていることだ。リード・トラックでCD初収録となる同曲は、89年のデペッシュ・モードのシングル。デフ・レパード『ヒステリア』からは7曲もシングルが切られたが、最後の“ロケット”発売も89年だった。メタルのムーブメントから出発したこのバンドは、80年代的なエレクトロニクス感を咀嚼することで、ポップな資質を開花させた。一方、エレポップのデペッシュ・モードがギター・リフを取りいれて効果を上げたのが“パーソナル・ジーザス”だった。そう考えると背中あわせの関係だし、なるほどと思う選曲だ。当然、ギターをよりハードにしたカバーになっている。ハードとポップのこのバランスが、デフ・レパードなのである。(遠藤利明)



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デフ・レパード『ザ・ストーリー・ソー・ファー:ザ・ベスト・オブ・デフ・レパード』のディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』1月号に掲載中です。
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デフ・レパード ザ・ストーリー・ソー・ファー:ザ・ベスト・オブ・デフ・レパード - 『rockin'on』2019年1月号『rockin'on』2019年1月号
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