死を想いつつ清々しい

Ivy to Fraudulent Game『Memento Mori』
発売中
SINGLE
Ivy to Fraudulent Game Memento Mori
ファーストミニアルバムが『行間にて』と題されていたこともそうだが、Ivy to Fraudulent Gameには、言葉へのこだわりが感じられる。今回のセカンドシングルは“Memento Mori”。曲名はラテン語で「死を想え」を意味し、日本でもわりと知られた言葉だ。楽曲自体はギターのアルペジオを軸としたパートと、シューゲイザー的でノイジーなパートからなる。いつか訪れる死を意識し、より良く生きようという詞のテーマと、音の強弱の展開が対応している。死を想う静かな場面と生が躍動する場面というぐあいだ。詞には当然「死」という単語が出てくるしシリアスな内容だが、途中で「ランラン」とコーラスが入り、重くなりすぎないアレンジである。全体として前向きな清々しさが感じられるサウンドだ。

同曲を書いたドラムの福島由也作の“trot”と、ボーカルの寺口宣明作の“低迷”がカップリング。前者は激しい演奏で後者はバラードと対照的だが、いずれも「繋いで」がキーワードの詞であるのが面白い。同じ言葉でも曲調が違えば聴こえ方は変わる。言葉をどう響かせるかに敏感なバンドだ。(遠藤利明)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする