今を照らす、混沌と生命の総合芸術

椎名林檎『三毒史』
発売中
ALBUM
椎名林檎 三毒史
椎名林檎自身もオフィシャルライナーノーツで「全ての収録曲は唄い手を含む演奏家への当て書きのつもり」と語っている通り、宮本浩次/櫻井敦司/トータス松本向井秀徳/浮雲/ヒイズミマサユ機やツアーバンド=MANGARAMA、東京事変ラインナップなど辣腕プレイヤーのポテンシャルを最大限にドライブさせひとつの座標に収めてみせた今作『三毒史』は、「総監督・椎名林檎」の精緻かつ大胆なプロデュース能力の結晶でもある。と同時に、この熾烈にして妖艶なる5年ぶり6作目のオリジナルアルバムから浮かび上がってくるのは、批評性と自我のせめぎ合いであり、無常感の中で蠢く不屈の情熱であり、フレンチポップスもクラシックもジャズも読経も踏み越えた音楽的多様性であり……つまり、今この時代に在る混沌と生命の森羅万象を音楽の総合芸術として描き上げ体現しようとする「表現者・椎名林檎」の切実なるアティテュードそのものだ。神秘的なコーラスワークとともに、生きることの孤独と重さを高精細で映し出すようなアルバム最終曲“あの世の門”には、何度聴いても戦慄を禁じ得ない。(高橋智樹)
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