やっぱり今も世界最強MC

ナズ『ザ・ロスト・テープス 2』
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ALBUM
ナズ ザ・ロスト・テープス 2

今も世界最高峰のラッパーのひとりとして君臨するナズの未発表音源集。ナズは02年にも『ザ・ロスト・テープス』というタイトルの未発表音源集を出しているが、これは99年の『アイ・アム…』と01年の『スティルマティック』のセッションの時の音源で、これらが未収録になっていたのは、リリース前にリークされ幻の名曲群として出回ってしまったからだ。その後、この続編も出すとナズは語っていたが、今回の内容は明らかにここ数年の音源。つまり、デフ・ジャム移籍後の未発表音源で構成されている。

となると全盛期の音源ではないのかと肩を落とす向きもあるかもしれないが、これがまたすごい内容で、楽曲単位で聴いていくとやはりナズのラップ・パフォーマンスに勝るものはそうそうないとその力量と気持ちよさに唸らされてしまう。スウィズ・ビーツとのトラック2曲が16年のもので、これは結局完成しなかった作品からの楽曲。ほかはアルバムから洩れた音源でノー・I.D.との最終曲“Beautiful Life”などは離婚したまま息子を自分に面会させない、元妻ケリスへの思いまで吐露する強烈な内容で、明らかに『ライフ・イズ・グッド』を締め括るはずだったものだ。それまでの自身の生き様も総括してみせるこの曲の滑舌はすさまじい。このアルバムからの未発表音源にはさらにナズの歴史的な傑作“ザ・ワールド・イズ・ユアーズ”をプロデュースしたピート・ロックとの“QueensBridge Politics”、“The Art of It”の2曲も収録されていて、これもまた彼の至芸を披露するものになっている。ほかにもジ・アルケミスト、RZAとのハードコア・ヒップホップ風のトラックも秀逸だが、スタティック・セレクターとの“Lost Freestyle”のサウンドと内容もナズの究極のパフォーマンスとなってしびれる。 (高見展)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』10月号に掲載中です。
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ナズ ザ・ロスト・テープス 2 - 『rockin'on』2019年10月号『rockin'on』2019年10月号
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