13枚目のオリジナルアルバム『PUNCH』。タイトルもジャケットも、かなりシンプル。ありとあらゆる贅肉が、ヒロトの体の如くそぎ落とされている。そうなった理由が、1、2曲目から解釈できる。《会ってすぐ全部 会ってすぐ全部 わかってたんだな》と歌う、ヒロト自身の目力を思い出す“会ってすぐ全部”。《かっこいいぜ！ しびれちゃう!!／かっこいいぜ！ ぶっ飛ばせ!!》という歌詞に、マーシーの大切なものが詰まっている “怪鳥ディセンバー”。これらからは、もう全部わかっているから、かっこいいことだけをやるんだ、というクロマニヨンズの究極のスタンスが見えてくる。

また“小麦粉の加工”や“整理された箱”のような、タイトルからして日記のような歌詞も、心震えるロックンロールとして鳴っていて、かっこいい。ロックンロールは魔法であるということが、まざまざと感じられるスタイルだ。そして「かっこいい」と「かっこつける」は違うんだな、と思わずにはいられない。多用されているコーラスワークのムードも含めて、ロックンロールへの尽きないロマンを感じさせる一枚。（高橋美穂）