フリー・ナショナルズは、カリフォルニア出身の4人組ファンク・バンドだ。メンバーは、ホセ(ギター)、ケルシー(ベース)、ケーラム(ドラム)、T・ナバ(キーボード&ボコーダー)の4人。現時点で彼らが一番よく知られているのは、おそらくアンダーソン・パークの「バック・バンド」としての活動歴だろう――18年のフジロックなど、日本でも激アツなパフォーマンスを何度も披露済みなので、「ああ、あの4人か!」と記憶が甦ってくる人もきっと多いんじゃないだろうか。
本作は、そんなフリナショの待望の「フロント・バンド」としてのデビュー・アルバム。ふだんのボスであるパークもご祝儀で1曲に参加しつつ、その他にも大勢のゲスト・ボーカルが招かれて、さながら「真冬の日曜日のファンク・ジャム・パーティ!」的な幸福感で溢れまくった快作に仕上がっている。
ゲストのジャンルも多様で、R&B女性ボーカル(シド、カリ・ウチス)、ラッパー(T.I.、J.I.D、故マック・ミラー)、ダンスホール・レゲエ(クロニックス)といった面々が曲ごとに登場。一歩間違うと流れが散漫にとっちらかってしまいそうなものだけど、実際はその逆。誰がボーカルに来ても、タイト&スムーズなグルーヴ感を自在にキープしていく辺りは、さすが百戦錬磨の実力派バンドだ。
陰のMVPは、キーボードのT・ナバ。この人がソロに絡んでくると、70年代のスティーヴィー・ワンダー/ハービー・ハンコック/P・ファンク的なコズミック感が加わって、楽曲全体のファンキー濃度も一気に上昇する。まるで4人の敏腕シェフがそれぞれに得意料理をふるまってくれる隠れ家レストランみたいなバンドで、こんなお店が近所にあったら、週2ペースで通っちゃいそう。(内瀬戸久司)
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