乗ったもん勝ち、楽しんだもん勝ち
THE KEBABS『THE KEBABS』
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ALBUM
デビュー作にしてまさかのライブ盤。佐々木亮介(Vo・G)は歌詞をよく変えるため、歌詞カードと一致しないフレーズも多い。生特有の熱が漲る“恐竜あらわる”はかなりハイテンポ(ドラムの職人ぶりがかえって光る)。歌詞が2行の祭囃子“猿でもできる”の冒頭1分半、ボーカルとギターの掛け合いはおそらくアドリブだ。曲間のセッションを経て次の曲に入った瞬間、驚き喜ぶ観客の声もそのまんま収録されている。こういうリリース形態でのデビューは珍しいが、ライブ中に曲作りを始めたり、ライブハウス内でドローンを飛ばして撮影をしたりと、自由に活動するTHE KEBABSの「なんだか楽しそうなことやってるぞ」感を伝えるにはこれが最適かもしれない。シンプルなメロと歌詞、ゴリッとしたリフとメジャーコードでガツンと進む曲が主で、明るいのに泣ける“枕を変えたら眠れない”はその真骨頂といえるだろう。一方、おどろおどろしいサウンドとポエトリーリーディングによる“ホラー映画を観よう”のような変わり種も。まだまだ面白いことが起こりそうな予感にワクワクせずにいられない。(蜂須賀ちなみ)