兄弟初のデュオ・アルバム

ロジャー・イーノ & ブライアン・イーノ『ミキシング・カラーズ』
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ALBUM
ロジャー・イーノ & ブライアン・イーノ ミキシング・カラーズ

ロジャーとブライアンのイーノ兄弟による初のデュオ・アルバム。2人は以前から、映画やテレビのサントラを中心にしばしばコラボしてきた。だが、アルバムを制作するのは『ミキシング・カラーズ』が初めてである。本作は2人の15年以上にわたる共同作業でできあがったのだという。

タイトル通り、色をテーマにした作品であり、曲名のほとんどはなにかの色からとられている。収録された音自体は、ブライアンが1970年代に提唱した「アンビエント・ミュージック(環境音楽)」に分類できるもの。それは、環境の一部として無視してもいいが、集中して聴くこともできる音楽を意味する。このコンセプトに基づいてブライアンは多くの作品を発表し、メロディがより希薄で環境にいっそう溶けこむ方向へと進んできた。

それに対し、本作はやや傾向が違う。手順としては、ロジャーがMIDIキーボードで録音した曲のファイルを送り、ブライアンがデータを加工処理することで完成したという。素朴だが軸となるメロディを持つものが多いのは、出発点となったロジャーの曲作りによるところが大きいと思われる。ブライアンが「環境」を、ロジャーが「音楽」を重視する構図だ。

また、童心に戻って奏でたようなシンプルなメロディには、エリック・サティのピアノ曲を連想させるところがある。サティといえば「家具のような音楽」を発想し、ブライアンのアンビエント・ミュージックに影響を与えた作曲家だった。その意味では、ロジャーと組むことでブライアンが、温故知新を果たしたアルバムとも考えられる。とらえどころがないように思われがちなアンビエント・ミュージックのなかでも、これは親しみやすい作品だ。 (遠藤利明)



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ロジャー・イーノ & ブライアン・イーノ ミキシング・カラーズ - 『rockin'on』2020年5月号『rockin'on』2020年5月号
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