レディオヘッドを離れ、希望を歌う

EOB『アース』
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ALBUM
EOB アース

レディオヘッドのメンバーとしては4人目のソロ始動となったエド・オブライエンのソロ・デビュー・アルバム。自身の作品とレディオヘッドの作品が影響し合っているトムや、クラシック、サントラといった明確なコンセプトを持ってソロ仕事に臨んでいるジョニーとは異なり、エドの場合は(フィル同様に)ソロの方向性が事前にほぼ予測できなかったわけだが、本作はレディオヘッドで培った経験の上で彼だけの作家性が初めて露わになったという意味で、極めてオーセンティックなソングライター・アルバムになったと言っていいだろう。

ディストーション、ディレイを多用したロックらしいギターから、ギミックを削ぎ落としたアコギの凜とした響き、ブレイクビーツとの境界を淡く滲ませるドローン・ギターが醸し出すアンビエンスなど、レディオヘッドの変化と革新にギタリストとして応え続けたエドが開拓してきたギターの可能性が、本作では存分に発揮されている。彼の美声はレディオヘッドのファンには周知の事実だが、その声に相応しいメロディアスなナンバーが本作の主軸になっていて、それはいっそポップと形容してもいいものだ。また、『スクリーマデリカ』にインスパイアされたとエドが語っているように、本作にはアシッド・ハウスのグルーヴや、さらにはデペッシュ・モードを彷彿させるダーク・エレクトロの側面もある。リズムの定型から逸脱することのないそれらのダンサブルな曲群は、逸脱しかしないレディオヘッドのそれとは対照的だし、対照的と言えば《誇りと自由の灯台の希望の灯に向かって進め》(“セイル・オン”)と歌うように、本作はレディオヘッドでは考えられないほどポジティブで真っ直ぐなメッセージ・アルバムでもある。今改めて、エド・オブライエンに出会えた気がする。 (粉川しの)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』5月号に掲載中です。
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EOB アース - 『rockin'on』2020年5月号『rockin'on』2020年5月号
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