動き出す風景と、動き出す心

never young beach『サイダーのように言葉が湧き上がる』
2020年05月13日発売
SINGLE
never young beach サイダーのように言葉が湧き上がる
『やさしいままで』に続き、2020年に映画主題歌を連発するnever young beachのニューシングル。表題曲は、アニメ映画『サイダーのように言葉が湧き上がる』(イシグロキョウヘイ監督)主題歌として書き下ろされており、軽快に弾けるウエスタンスウィングの曲調が心地好い。17歳の少年チェリーはコミュニケーションが苦手で、趣味の俳句をSNSに投稿している。矯正中の前歯をマスクで隠している少女=スマイルとの出会いによって物語は転がり出すのだが、それぞれにコンプレックスを抱いた者たちの入り組んだ心象が、言葉と音楽によって展開するさまを、安部勇磨の《ごちゃ混ぜなままでもいいぜ/この気持ち 真っ直ぐに ほら飛んでいけ!》という歌詞が射抜いているのだ。素朴なようで的確に心の機微を捉える、ネバヤン節の真骨頂である。映画タイトルに込められた言葉のダイナミズムを、そのまま汲み取った楽曲タイトルも英断。また、カップリング曲“シティサイド・ラプソディ”は阿南智史による作曲のアーバンなファンキーポップで、言葉と同じくらい雄弁なギターフレーズが余韻を残す。(小池宏和)

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