「wowakaとヒトリエ」のすべて

ヒトリエ『4』
2020年08月19日発売
ALBUM
ヒトリエ 4
メンバー自身選曲による2枚組、全27曲というボリュームもさることながら、それぞれの楽曲に詰め込まれた圧倒的な情報量に改めて驚かされる。特に初期の楽曲は“モンタージュガール”でも“Inaikara”でも、一曲ごとに全身全霊を懸けて注ぎ込まれた言葉と音がいびつなフォルムとなって、一聴して呑み込めないほどの刺々しさをもっている。それはつまり、wowakaにとってヒトリエというバンドとそこで鳴らす音楽がなんだったのかということの証拠でもある。前にツイッターで彼は「自分で歌おうと思ったのはそうしないと死ぬと思ったからだ」ということを言っていたが、その文字通り決死の覚悟が、この過剰なロックの源泉にはあった。作品を重ねるにつれてその覚悟は少しずつ形を変え、自己や人間への肯定感として表れ始めていただけに、返す返すもその物語が突然遮断されてしまったことが口惜しい。もっと見ていたかった。もちろんバンドは続いていくが、「この4人」の、そしてwowakaとヒトリエの物語はこれが区切りだろう。コロナの影響で延期になっているツアーで3人が描く未来を見たい。(小川智宏)

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