初のセルフカバーベストアルバム。Nothing’s Carved In Stoneは、ライブで一期一会の演奏を届け、楽曲を生き物のように育ててきたバンドだ。それだけに、バンドの代表曲のリテイクは大きな意味を持つし、実際に待たれていたと思う。
2枚組、全20曲の今作。言うまでもないが、彼らは、楽器の技術と音楽の表現力を持つメンバーが集まり、このバンドで自分自身ができることを、存分に追求してきたバンドだ。「代表曲の最新形」が詰まった今作は、その極みだと思う。だからこそ、このボリュームは重すぎないだろうか……なんて心配していたのだが、一曲一曲のライブの光景を思い出しているうちに聴き終えていた。きっと、彼らの楽曲は、リスナーのものにもなることで、ポップな強度を増したのだ。
初期の彼らは、とにかく4人で音を鳴らすことが楽しそうだった。でも今は、《変わり続けてでも/歌い続けるよ僕は/ここで君を待つ》(“Dream in the Dark”)という歌詞もあるけれど、どんな時も《君》と共に在る楽しさや喜びを実感しているのではないだろうか――そんな物語も見える作品だ。(高橋美穂)
4人と《君》の20曲
Nothing’s Carved In Stone『Futures』
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ALBUM