密になってなんぼのライブハウスで生きてきたリアリティ、配信ライブやストリーミングではどうしても伝え切れない熱。ライブバンドたちの燻る想いを一体どこで発散したらいいのか。だったらそのまま曲にしてしまえ！と言わんばかりの作品だ。《君との人生は／僕の全てだった／だから奪わないでくれ（和訳）》（“Rising Down”）、《光へ帰してくれ／もっと君が必要だ（和訳）》（“Bright Side”）と切実に求めるのは、ライブという現場であり、そこに渦巻く熱なのだと思わずにはいられない。《誰もが間違いを犯すのに／何故あんたは他人に指を差し続ける？（和訳）》（“Slip and Slide”）とSNSで感じがちなイライラをぶった斬ってくれるところも含めて、「わかる、わかるぜ!!」と拳を握ってしまう。本人たちは別に共感を求めて書いているわけではないだろうけど、SHANKはいつも私たちと同じ場所に立っていてくれるから、勝手にわかる。ファストなメロディックチューンも、ギターリフも、スカのビートもキレキレで、たとえ現場がしばらくお預けでも、この音が鳴り止むことはないのだなと思うと救われる。（後藤寛子）

『ROCKIN'ON JAPAN』2020年10月号より