通算30作目という節目を迎えた『The World of Mercy』から約11ヶ月ぶりとなる、DIR EN GREYの2020年第1弾シングル。興奮と緊張を高めるユニゾンに続く、《No Will Living Dead》という咆哮の幕開けから血がたぎる。演奏に、歌詩に、スタンスに、ロックバンドの強度がまざまざと表れた楽曲だ。
彼らの楽曲は、何度も聴いて意味や構造を解き明かしたくなるものが多いが、今作は特にそういう衝動にかられた。《非日常に蝕まれた愚かな人生》《真っ赤な/言論の自由を突き刺して》――この混沌の中で、何か前に進むヒントがあるかもしれない、生きる力をもらえるかもしれないと思わずにはいられないから。澄んだ声で突きつけられるのは《今何を諦めてる?/この時代に生まれる、君よ》――彼らが誠実に、剥き身の表現で、私たちに向き合っていることが伝わってくる。
さらに2005年リリースの“CLEVER SLEAZOID”を再構築して新録、そして “Followers”の2020年2月のロンドンでのライブテイクも収録。その歴史やライブから、アートの重みを今一度知ってほしいと強く思う。(高橋美穂)
思考と行動を促す剥き身のアート
DIR EN GREY『落ちた事のある空』
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