危うい官能を描き出すタッグ

Nulbarich『ASH feat. Vaundy』
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Nulbarich ASH feat. Vaundy
ニューウェーブ風のファンキーポップと、80’sブラックコンテンポラリーを掛け合わせるスタイルは7月配信の楽曲“LUCK”でも用いられていたが、今のNulbarichは情緒の繊細な襞を掠めてゆくキャッチーかつフェティッシュな攻め気を感じさせている。そんなところに届けられるのが、この新曲“ASH feat. Vaundy”だ。先にズバリ言ってしまうと、JQとVaundyの歌声の絡みはヤバい。危険なレベルでエロい。音楽であることを盾にした脱法媚薬みたいなものだ。もう、フェードインしてくるイントロからして淫靡な匂いがプンプンする。今日のシーンには、ソウルやジャズ、ヒップホップを音楽的ルーツとしたアーティストが数多く活躍しているが、プリンスザ・ウィークエンドにも匹敵するこの危うい官能にはなかなかお目にかかることができない。詩的であるほどに悩ましさを増すJQの歌詞といい、リバーブがかったVaundyの《今灰にして》という切ないフックといい、歌心を増幅させるブルージーなギターソロといい、身悶えするような表現力と化学反応の連鎖によってこの楽曲は成立しているのだ。(小池宏和)

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