変化し続ける「謎」を全力で追え

yama『名前のない日々へ』
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yama 名前のない日々へ
表現者なら、第一に作品やパフォーマンスを評価してほしいと願うのは道理だ。素顔や経歴を明かさないまま認知を得るアーティストが増えたのは、ビジュアルイメージも表現として扱いやすい時代になったからで、それはいいことである。このyamaも、素顔や本名、性別などが謎に包まれたシンガーのひとりだ。歌い手シーンに彗星のように登場して人気を博し、カバー曲の縁などからユニット=BINを結成。ソロとユニットで並行して活動しつつ、昨年にはボカロPのくじらによる作詞・作曲“春を告げる”がバイラルヒットを記録した。最近は仮面を被った姿で「THE FIRST TAKE」や『Mステ』に出演と、凄まじいスピードで「謎のアーティスト」像を拡散させている。

メジャー進出後はTOOBOEによる楽曲提供が続いていたが、新曲は若きトラックメーカーの南雲ゆうきが作詞・作曲を担当。湿度を帯びた情緒がなびくヒップホップビートも、ダイナミックに舞い上がるコーラスも素晴らしい卒業ソングである。優れて個性的な楽曲提供を受けることで、yamaのアーティスト像は謎のまま無限に成長してゆく。(小池宏和)

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