昨年1月に制作拠点をLAに移したタイミングでコロナ禍の時代へと突入し、おそらくは音楽に、そして時代にじっくりと向き合うこととなったJQ。DISC1は、その回答とも受け取れる、内省的でありながら光を感じさせる奥行き深い一枚。先行リリースされた“CHAIN”では、ダークな時代の中で瞬間、自分の体温を取り戻すような、リアルな解放感を味わう。さらに今作には、ジャンルや時代の超越というのもテーマにあるのではないかと思う。“LUCK”に漂うノスタルジックな80’sフレーバーは、独特のドライな質感を伴って、不思議な疾走感と浮遊感で今を映し出し、“In My Hand”のオーガニックな歌声と日本語の歌詞にはジャンルを飛び越えた普遍な音楽の力を感じる。《Rockで自分を呼び覚ませ/Hip Hopで魂を叫べ/Reggaeでsoulに火を灯せ/Jazzで心と向き合え/Bluesでその心癒せ/Funkで心よ踊れ》。これこそ音楽の根源に向き合ったからこそ生まれた曲だろう。DISC2は、様々なアーティストとのフィーチャリング曲をまとめた一枚。“Be Alright feat. Mummy-D(RHYMESTER)”は必聴。(杉浦美恵)
時代を映しながら時代を超越する
Nulbarich『NEW GRAVITY』
発売中
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ALBUM