ライブ映像から触れると、6月に東京ガーデンシアターで開催された「ONE MAN LIVE -IN THE NEW GRAVITY-」はVaundy、唾奇、AKLO、Mummy-Dといった『NEW GRAVITY』のゲスト陣も登場。今のNulbarichのバンドコミュニティとしての自由さと広大さを体感できるライブだ。11月に開催された「The Fifth Dimension TOUR 2021」Zepp Tokyo公演はバンドの歴史を網羅するセトリで、Nulbarichの本質を真芯から捉えたドープなライブ。そして、このライブで「コロナで学んだことをすべて詰め込んだ」とJQが紹介し披露したのが、EPの冒頭を飾るアンセミックな“It's All For Us”。「I」という主語と「We」という主語をナチュラルに、暴力的にならず重ねるところに、JQらしい繊細だが大きな筆致を感じる一曲だ。
この時代に何を鳴らすべきか、覚悟をも感じさせるEPと、そこに至る過程を鮮明に捉えている映像作品。ドキュメントとしてもかなりの重要作。(天野史彬)