ジョン・フルシアンテの再復帰に伴い、10年務めたレッド・ホット・チリ・ペッパーズのギタリストの任を譲ることとなったジョシュ・クリングホッファー。もっとも、この間も並行してソロやチャド・スミスとのコラボで音源を制作していたクリングホッファーだが、なかでも近年精力的な活動を見せていたのがこのプロジェクト、プルーラルワンだ。
すでに2枚のアルバムを発表済みで、本作は今年4月のアース・デイにリリースされたEP。既発曲の再録や未発表曲を纏めた内容になる。
クリングホッファーはギターを始めベースやドラム、キーボード、そしてボーカルも担当。加えて、楽曲毎に脇を固めるサポート・プレイヤーの豪華な顔ぶれがプルーラルワンの醍醐味であり、本作にはチリ・ペッパーズ結成時のドラマーやジェーンズ・アディクションの初代メンバー、テラ・メロスのギタリスト、さらにレッド・クロス/オフ!のスティーヴン・マクドナルドらが参加している。
さながらアメリカ西海岸が誇る新旧アウトサイダーズとも呼べそうな顔ぶれだが、その音楽は美しくレイドバックしたロック・サウンドといった装いで、アメリカーナの香りも湛えた滋味溢れる歌心が魅力だ。ギター/ラップ・スチールやピアノといったアコースティック楽器が主張し、オーガニックで色鮮やかな音色とメロディが紡ぎ出されていく。とりわけドリーミーな空気を含んだ“Stretch the Truth”や“Wile”は、70年代のローレル・キャニオンにタイムスリップさせる本作の白眉に挙げたい。
「自分なりの方法で常に新しい道を模索している」。そうモチベーションについて語る本人の言葉通り、プルーラルワンはチリ・ペッパーズ以降の彼のキャリアを代表するプロジェクトとなるに違いない。(天井潤之介)
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